第98章 夢日和
『大野くんの後ろで踊れって言われました』
『大野くんが絵を描いてるところ、見ててもいい?』
翔くんがジュニアに入ってきた時、えらくちっこいヤツになつかれたな…って思った。
気づけば近くにいて。
だけどイヤじゃなかった。
纏っている気品。
育ちの良さ。
だけどお堅いって感じでもなくて。
カラコンとかドレッドヘアとか…
ジュニアの中でいち早くしてきたのは翔くんだった。
「ぴよぴよ、ぴよぴよってさ。ヒヨコみたいだったよな」
「ヒヨコ?」
「うん。翔くん、ヒヨコみたいだった」
「俺…ぴよぴよなんて言ってた?」
「あはっ。ぴよぴよなんて口には出してなかったけど、効果音つけるならぴよぴよだった」
「それって…智くんのお尻にくっついて歩いてたってこと?」
「んふふ。そう」
「え~っ。そんな風に感じてたの?」
「いいじゃん。可愛くて」
「はぁ…もう…」
恥ずかしいのか、翔くんは両手で顔を隠してしまった。
そんなとこもあの頃と変わらなくてさ。
ホント、可愛いんだよね。