第97章 ビバ・青春
コンコン、と教室の扉をノックする音がして。
僕と大野くんは咄嗟にリコーダーを机の上に置いた。
扉が少し開き、担任がひょっこり顔を出す。
「リコーダーの練習もいいけど、そろそろ帰れよ~」
「はーい」
「わかりました~」
再び扉が閉まり、担任が怒ってる感じではないことにホッとした。
「じゃあ…帰ろうか」
「うん」
そう言って、お互いにリコーダーをしまおうとしたのだけれど。
「俺のどっちだ?」
「あ…」
2本並んだリコーダー。
あいにくどっちも名前がなくて。
「何となくだけど…こっち…かなぁ」
「いや…僕のがそれだと思うけど…」
「うーん…そうなのかなぁ…」
どちらかよくわからないまま、とりあえず選んで持ち帰ることにした。