• テキストサイズ

キミとボク【気象系BL】

第96章 ワインレッド~season~



居酒屋にいる間、翔くんに変わった様子はみられなかった。

おいらとしては、そのほうが不思議だったけど…

やっぱり覚えていないのかもしれないと思うと、少しずつおいらの緊張も解れていった。




「本当に大丈夫だから」

「でも心配だから送らせて」

店を出た後そんなやり取りがあって。

結局、翔くんはおいらの家までついてきてくれた。

「少し上がってく?」

ずっとおいらのことを気にかけてくれてたから、そのまま帰すのは気がひけて、そう声をかけてみた。

「えっ?でも智くん、体調が…」

案の定、翔くんはビックリしたようだ。

「帰ってきてホッとしたらさ、ちょっと飲みたくなって。翔くんも飲み足りなかったんじゃない?」

おいらに合わせて、いつもよりだいぶ少なめだったし。

「まぁ、そうだけど…いいの?」

「うん。いいよ」

徐々に嬉しそうな表情になっていく翔くんは、本当に優しくて可愛い人だと思う。




だから…

他の人に渡したくないんだよ。




自宅では缶詰のつまみと、今日はビールのみにした。

おいらなりに推測したことがあって、それを確認したかったからだ。

「そうだよね。体調悪い時にちゃんぽんするのはよくないもんね」

うん、やっぱり翔くんは優しい。




おいらが少し元気になってきたことに安心したのか、翔くんは意外と飲むペースが早かった。

顔がほんのり赤くなっている。

「翔くん?」

「ん~ちょっとだけ…眠っていい?」

「もちろんいいよ」

トロントロンと眠そうにしていた翔くんの瞼が閉じていく。

間もなくしてスースーと寝息が聞こえてきた。




ゆっくり寝てていいからね、翔くん。







/ 1027ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp