第17章 幸せな時間
(Sサイド)
「しょーくん、ごめんね。待たせちゃった分、食べる時間が減っちゃったね。」
「気にすんな。明日は早く準備しとけよ。」
「わかった。」
「…智くんとの時間が減るのは困るから。」
「しょーくん…。」
「ほら、食べるぞ。」
「いただきまーす。」
この時間の中庭は、陽が当たって気持ちいい。
桜の木の横にあるベンチが、俺たちの定位置だ。
「あと1ヶ月もすれば咲くね。」
「うん。楽しみだな。」
蕾をつけている桜に思いを馳せる。
「あっ。智くん、口元についてる。」
「どこ?」
「ここだよ。」
俺は智くんの口元についてるご飯粒を指で取り、そのままパクっと食べた。
「ちょっ…ちょっと…しょーくん…。」
智くんの顔が真っ赤だ。
そこで俺は自分の行動に気づいた…。
無意識だった。
俺、恥ずかしい…。
「ふふっ。しょーくん真っ赤だよ。」
「智くんだって。」
俺は智くんと過ごす、この穏やかな時間が好きだ。
「さっ、食べよ、食べよ。」
「智くん、魚肉ソーセージ食べる?」
「いいの?ちょーだい。あーん。」
うわっ。めちゃめちゃ可愛い…。
親鳥を待つ雛鳥みたいだ。
「ほら。」
俺は箸につまんだ魚肉ソーセージを智くんの口の中に入れた。
もぐもぐ食べてる姿に癒される。
「じゃあ、しょーくんには肉団子をあげるね。ほら、あーん。」
えっ、あーんするの?
俺、雛鳥になるの?
恥ずかしいけど親鳥な智くんがニコニコしてるから…。
「あ、あーん。」
パクっ。
もぐもぐもぐもぐもぐもぐ…。
「ふふっ。しょーくんリスみたいだね。」
「えっ…。」
「かぁわいい~。」
「もう言うな!」
俺を真似てるのか?頬袋~って頬を膨らませてる。
そんな智くんのほうがよっぽど可愛いよ。
「ふふっ。」
「ははっ。」
こんなに幸せでいいのかな…。