第96章 ワインレッド~season~
「また来てもいいの?」
「うん、もちろん。翔くんなら大歓迎」
「ふふっ。ありがと。何かさ、さっきから思ってたんだけどさ。智くん家って落ち着くね」
「えっ?」
「何だろうなぁ…部屋の雰囲気とか匂いがさ、俺好みかも」
そう話しながら、翔くんがおいらをじっと見る。
少し紅潮している頬と潤んだ瞳。
ぷっくりした赤い唇。
おいらも翔くんから目が離せないでいると、翔くんがスススッとおいらの目の前にきた。
「あはっ。やっぱりそうか」
ニコニコする翔くん。
今度は何?って思っていると、翔くんの顔が近づいてきて…
おいらの首辺りの匂いを嗅ぎ始めた。
もうっ、何してんだよ。
「んふっ。智くんの匂い、いい匂い~」
すごく楽しそうに笑ってるけど。
…あのぉ、押し倒していいですか?
我慢も限界になり、翔くんの肩に手を伸ばしかけた時…
「あ、トイレ…借りてもいい?」
「う、うん。いいよ。トイレはこっち」
マジかぁ…このタイミングでかぁ…。
おいらの手…
翔くんのトイレタイムによって、体に触れることはできなかった。
翔くんもいい匂いがしてたし、マジでヤバかった。
あんな至近距離に翔くんの顔が…。
思い出しただけで、中心が疼く。
おいらはキッチンに行き、赤ワインを手に取った。
「ごめんね。トイレ借りちゃって」
トイレから戻ってきた翔くんもキッチンにやってくる。
「んふふ。間に合った?」
「もうっ。間に合ったよ~」
「そうだ。翔くん、赤ワイン飲む?」
「うーん…どうしようかな。あまり遅くなると弟が心配するんだよね」
「…そっか」
翔くんと弟さん、仲良しなんだもんな。
「あっ、でも…」
「いいよ、大丈夫。また来た時にでも飲めばいいし」
「うん…。あのね、弟のこともあるんだけどね、急に酔いが回って眠たくなったらさ、智くんに迷惑かけちゃうし」
「それも気にしてたの?」
「うん。だけど…この時間ならさ、もしひと眠りしたとしても、午前様にはならないと思うから…。ちょっとだけ飲んでみようかな」
「じゃあ…そうしようか」
「うん。実はね、さっきから飲みたかったんだぁ」
そう言ってペロッと出された翔くんの赤い舌。
おいらの中心がまたズクンと疼いた。