第94章 愛と勇気とサクランボ
Oサイド
櫻井の体の形を確かめるように、頬から首、肩、腕へと手を這わせた。
今まで石膏像には何度も触れたことがあるけど、人の体をこんな風に触るのは初めてで。
手から伝わる体温と呼吸する度に上下する上半身にドキドキした。
俺の触り方がくすぐったいのか、櫻井が“あっ…”って声を出しては恥ずかしそうに目を伏せる姿がなんとも可愛らしい。
しばらくして、シーツで隠されている櫻井の中心辺りがテントを張っていることに気づき、お互いに苦笑いした。
櫻井は何か吹っ切れたのか、俺の服の裾から手を入れてくる。
ちょっとびっくりしたけど、イヤではなかった。
もしかしたら櫻井は、俺が経験ないことに薄々気づいてるかもしれない。
“じゃれあいっこしませんか?”
櫻井がそう言ってくれて…
もう大人の余裕なんてない俺でも受け入れてくれたことが嬉しかった。
俺も服を全て脱ぎ、櫻井に手を引かれてベッドに上がると、櫻井が体にかけていたシーツが捲れ、元気に天を向く中心が見えた。
「先生は…ここぞ、っていう時になると…スッと…はぐらかしてた…」
「今まで…美術品にしか興味がなかったから…翔くんを意識し始めるようになって…成人を過ぎてからの恋に…戸惑って…」
「でも…なにげにグイグイきてた…気が…」
「そう…かな…」
裸同士の俺たちは気持ちもオープンになって…
おっきくなったお互いの中心を擦り合わせながら、今まで話せずにいた思いを伝えあった。