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キミとボク【気象系BL】

第94章 愛と勇気とサクランボ


Sサイド

僕の手に重なる、先生の手。

大げさかもしれないけど、突然のことに手から胸、足に向かってビビビッと電気が走った感覚になった。

いくら手を誉められたからって『触ってみていいよ』なんて言うかな…自ら触れてきたりするかな…。

普通ならしないような、先生の言動。

僕にはそれが、すごく嬉しく思えた。



ひんやりと冷たさのある大野先生の手。

僕は先生の手を開き、両手で指やら手のひらをニギニギと握った。

「触っていいですか?」

すでに触ってはいるのだけど、一応確認をとった僕に、先生も慌てて返事をしてくれた。

へぇ…すごい……スベスベ。

うわぁ、ここ……血管が浮き出ててカッコいい。

やっぱり……先生の手、魅力的なんですけど。

ずっと見ていられるし、ずっと触っていられる。

ひんやりと冷たかった先生の手も、熱くなってきた。

…ずっとこうしていたいな。

そんなことを思っていると、先生が僕に声をかけた。

さすがに触りすぎてたかな…。

夢中になって触ってたことが恥ずかしくて、顔が上げられない。



「もう…満足した、かな」

大野先生が僕に再び声をかけた。

だけど…

途切れ途切れに発せられた言葉は、かえって色っぽく感じる。

「先生?大丈夫ですか?」

僕は意を決して顔を上げた。

あっ。

これはヤバイ…。

さっきよりも大野先生の顔が間近にあって、胸がバックンバックン騒ぎはじめた。



「な、何か…随分と近くなったな」

「はい、ものすごく近い…ですね」

「ちょっと危ない距離かもな」

「はい、心臓がもちません」

「アゴ出したら、くっつきそう…だな」

「アゴ…。アゴ出したらアゴ同士がくっつきますよ?」

「…そうだよな。そうなるよな」

「はい…」

「じゃあ…さ。アゴじゃなくて…唇を出したらさ、どうなるかな」

「唇?唇を出したら…こうなります」

僕はタコさん唇を作った。








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