第93章 またこの場所で
Sサイド
「おいらもさ、しょおくんみたいに年の差のある友だちになってもらえるのかな」
「はい」
「もちろんです」
「んふふ。ありがと。じゃあ、またね」
そう言って親友さんは改札に入っていった。
いつも人が多い時間帯だから心配ではあったけど…親友さんが歩く先々でみんなが避けてくれてたから、ぶつかることなく通れていてホッとした。
「何かさ、じいちゃん大物っぽくね?道がさ、開いていくもん」
「ふにゃってした顔がさ、みんなを穏やかな気持ちにさせてるのかもね」
その背中を見つめながら、また会えたらいいなと思った。
親友さんへの想いを持ち続け、いつかまた会えることを願いながら、自分と親友さんとの痕跡を所々に残していたおじいさん。
少しずつ思い出した記憶を元に、ここまで辿り着いた親友さん。
縁側で過ごした日々は、智くんと僕の歴史でもあって。
ひまわりから繋がった出会いが積み重なって今があるんだと、感じずにはいられない。
「なぁ、翔くん」
「ん?」
「俺、考えてることがあるんだけど…」
「考えてること?」
「うん」
智くんの歩くペースがゆっくりになったから、僕もそれに合わせた。
「今まではさ、大学卒業したら就職して…って漠然としか思ってなかったんだけどさ。目標?目的?みたいのができた」
「うん。実は…僕も」
「んふふ。同じだといいな」
「そうだね」