第93章 またこの場所で
Oサイド
「こんな所に…」
そう呟いたじいちゃんが、掘り出したものを手に取る。
ちょうど手のひらと同じくらいの大きさのもの。
それを数秒眺めた後、付いている土を手で優しく払い始めた。
徐々に見えてきたそれは、さっき行方がわからないと話していたプレートのもう半分だった。
じいちゃんが手袋を外し、描かれているひまわりの部分をゆっくり指でなぞっていく。
とっても愛しそうに、優しい瞳で。
俺はその光景を息をのんで見ていた。
どうしてじっちゃんがそれを持っていて、土の中に埋めたのかはもう聞けないけど…
「んふふ。見つけたよ」
じいちゃんがすごく嬉しそうだから…
きっと、じっちゃんも喜んでるんじゃないかなって思う。
「良かったね。智くん、良かったね」
ホッとしたのか、繋いでいた手を離した翔くんがぎゅっと俺に抱きついた。
「ちょっ、しょ、く」
翔くんの肩越しに、ポカンとしてるじいちゃんが見える。
「んふふ。好きなだけしてていいよ」
じいちゃんがクスクスしながらそう言い、掘り出したプレートを手に縁側に戻っていく。
「ほ、ほら。じいちゃんがあっちに行っちゃったよ」
「…あっ」
漸く気づいた翔くんは、顔を真っ赤にしていた。
2人して照れながら縁側の手前まで行くと、じいちゃんがプレートを並べていた。
そして、
「おいらたちが楽しそうにしてたから、焼きもち妬いちゃった?」
ってプレートに話しかけてるのが聞こえた。
何だかそこに、じっちゃんの姿が見えた気がした。