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キミとボク【気象系BL】

第93章 またこの場所で


Oサイド

俯いていた誰もが顔を上げ、キラキラと光る場所に釘付けになった。

じいちゃんがすくっと立ち上がり、導かれるようにして歩みを進める。

俺も1歩2歩と踏み出した。

てっきり翔くんも同じようにしているかと思ったんだけど…

翔くんは若干不安そうな表情をしながら、縁側に座ったままだった。

そんな翔くんに声をかけてみる。

「ちょっとびっくりしたよね」

「…えっ?」

翔くんが俺をチラッと見た。

「今までさ、光ってることなんて一度もなかったもんな」

「うん」

「だから、俺は知りたい。翔くんも行ってみる?」

「うん…手、繋いでくれる?」

小首を傾げて言うなんて。

可愛いなぁ、もう。

「んふふ。いいよ」

俺は翔くんと手を繋き、じいちゃんに近づいていった。



「…どうですか?」

ひまわりの前で屈んでいるじいちゃんに声をかける。

「何か埋まってるっぽいな」

覗いてみると、ひまわりの根元の近くに白っぽいものが見えて、ゴクリと喉が鳴った。

「ちょっと掘ってみようかな」

じいちゃんが今にも素手で土を掘ろうとしていると、

「あのっ。ケガしたらいけないので、そこにある手袋とかスコップを使ってくださいっ」

翔くんが慌ててじいちゃんに声をかけた。

俺なんかさ…すげぇなじいちゃん、チャレンジャーじゃん…って思っただけだったのに。

動揺してたはずなのに、咄嗟に気遣いのできる翔くん…

惚れ直しちゃったよ。



じいちゃんが手袋をはめて、丁寧に土を掘っていく。

ワクワクし始めた俺の横で、翔くんはまだちょっと不安げにしていた。

「だ、大丈夫かな…」

翔くんが顔をひきつらせて、繋いでいる俺の手をギュウッと握った。

力が入りすぎてて正直痛いけど、頼ってくれてるのが嬉しい。

俺はちょっとにやけそうになりながらも、じいちゃんの手元を見守った。





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