第93章 またこの場所で
Oサイド
お互いに目を閉じたまま重なる唇。
うっすらと目を開けると、同じようにうっすらと目を開けていた翔くんと視線が合った。
もう何年も一緒にいるけど、キスしながら目が合うなんて初めてのことで。
「ふっ」
「ふふっ」
2人して照れ笑いした。
「もう1回…」
俺の言葉にコクッと頷く翔くんが愛しくて堪らなくて、体が一気に熱くなる。
一旦離れた唇を追いかけるように再び重ねながら、翔くんの体をベッドに沈めた。
翔くんの厚い唇を啄むようにしていると、
「…1回って言ったのに」
って翔くんが訴えてきた。
可愛く瞳をうるうるさせながら言われても、ね。
「ダメだった…?」
「…ダメじゃない」
今度は翔くんから唇を押しつけるようにキスしてきて。
勢いのあまり薄く開いていた翔くんの唇に俺はすかさず舌を差し込み、舌と舌を絡ませた。
それが合図になったかのように、角度を変えて何度もキスをする。
「んっ」
「はぁ…」
翔くんの厚い唇から繰り出されるキスは、ねっとりと情熱的で。
俺がリードしているようで、実はリードしてるのは翔くんなんじゃないかなって思った。