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キミとボク【気象系BL】

第90章 My Angel



夕方、父ちゃんが布団やローテーブル等を車で運んできてくれた。

僕が車の免許を持ってたら、父ちゃんに迷惑かけなかったのに。

だけど父ちゃんは、頼ってもらえることが嬉しいと言ってくれた。

布団もほんのりポカポカしている。

車に乗せる直前まで干して、陽に当ててくれてたんだろう。

父ちゃん、母ちゃん、ありがとう。

「素敵なご家族だね」

「はい」

“素敵な家族”

そんな風に言ってもらえて、じわっと胸に込み上げてくるものがあった

…のだけど。

「櫻井さん、何してるんですか?」

「いや、布団があったかくて気持ちよくてさ」

部屋の隅に置いた僕の布団に頭を乗せて、櫻井さんはゴロッと寝そべっている。

「このまま少し寝ちゃおうかな…」

「えっ。まだ荷物の片付け終わってないですよ」

「少しくらいいいじゃん。ね?大野もゴロッとしようよ」

「まず片付けてからにしましょうよ、櫻井さん」

僕は櫻井さんの腕をとり、体を起こそうとしてみた。

…重くて、動かない。

「俺、意外と体重あるんだよねぇ」

櫻井さんはいたずらっ子みたいにニコニコしている。

「ほら、起きてください」

僕も意地になって、反動で離してしまった櫻井さんの腕を再びとった。

「起きて」

「やだ」

お互い引っ張り合いになる。

「起きて」

「やだ」

「起きて」

「やだ」

「起きっ…うわっ」

バランスを崩した僕は、咄嗟に手をついたから倒れこみはしなかったけど…

櫻井さんを組み敷いてるような体勢になってしまった。



ドクンドクン…

目の前には櫻井さんの綺麗な顔があって。

ぷっくりとした赤い唇は僕を誘っているように見える。

「おお、の?」

突然のことに揺れている大きな瞳…

無意識なんだろうけど、これはずるい。

「僕、櫻井さんと違って意外と体重ないんです。腕の力がもたなくなりました」

そうして倒れこみながら、櫻井さんの頬に自分の唇を

ちゅっ。

って掠め、櫻井さんの横に寝そべった。

「ちょ、ちょ、ちょっと今…あれ?いや、でも思い過ごしか…?」

「どうしたんですか?少しゴロッとするんですよね?」

「あぁ、うん…そうだけど…」

さっき僕の唇が触れたところを撫でている櫻井さんにドキドキしながら、僕はゆっくりと目を閉じた。





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