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キミとボク【気象系BL】

第90章 My Angel



パソコン越しに櫻井さんをチラ見する。

内線電話を片手にテキパキと仕事をこなしてる姿は、いつ見ても惚れ惚れしてしまう。

いつも通りに見える櫻井さん。

…僕と違って、櫻井さんはドキドキしてないのかな。

そう思うとズキン、と胸が痛くなった。



櫻井さんに視線を向けたままキーボードに手を触れると、デスクの上の資料に肘が当たってしまった。

バサバサッ…

資料が床に落ち、ハッと我にかえった。

一斉に視線を浴びる。

櫻井さんも電話を続けながら、心配そうに僕を見ていた。

「ごめんなさい。お騒がせしました」

謝りながら資料を拾い上げる。

いけない、いけない。

気持ちを切り替えないと。

ふぅ、と1つ息をはき、僕は再びパソコンに集中した。




「お疲れ様でした〜」

仕事を終え、1人2人と帰っていく。

「俺たちも帰るか」

「はい」

あの後、僕はきっちり仕事に集中した。

そうだ、これから櫻井さんちに…。

櫻井さんちに…。

櫻井さんちに…。

ドキドキが再燃し始める。

「後輩くん、何か楽しそうだね」

二宮さんが扉の外からひょっこりと顔を出した。

…なんか、ニヤニヤしてません?

「ほら、ニノは用事あるんだろ。早く行かないと遅れるぞ」

ん?

櫻井さん…

言い方はいつもと変わらないけど、声色がちょっとだけなんだけど低くて強めになってる?

「はい、はい。翔ちゃん、後輩くん、また明日ね〜」

二宮さんはさほど気にしてる様子もなくて、やっぱりニヤニヤしていた。

…僕の思い過ごしだったのかな。



「大野…」

「あ、はい」

「行こ?」

えっ。

「早く、行こ?」

「は、はい」

何だろう…

首をちょっと傾げて“行こ?”って…。

可愛いのはもちろんなんだけど、

そこに”かまって”っ気持ちがあるように感じる。

いや、まさか、ね。

さっきみたいに思い過ごし…なのかな…。







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