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キミとボク【気象系BL】

第90章 My Angel



「安心したらさ、急にお腹がすいてきた」

櫻井さんがゴクッと喉を鳴らしながら麦茶を飲む。

その時の喉仏の動きがセクシーで…同じ男だけどゾクッとした。

「早く食べないとな。ほら、大野も食べて」

ニコッとしながら箸を持った櫻井さんは、あっという間に完食した。

“元気出てきたじゃん。後輩くんのおかげだね”

さっきの二宮さんの言葉が頭をよぎる。

「ん?大野も悩みがあるのか?」

「あ、いえ…大丈夫です。行きましょうか」

「あぁ、そうだな」

櫻井さんが席を立ち、僕もそれに続いた。




帰宅後、両親と姉ちゃんに話をした。

「櫻井さんって、あの櫻井さん?」

「そうだよ、あの櫻井さん」

「うわぁ、あのイケメンで仕事もできる櫻井さんだよね」

「そう。その櫻井さん」

「母さんも一緒に住もうかな」

「何でだよっ」

「母さんが一緒に住むなら父さんも…」

「だから、何でだよっ」

「お母さんもお父さんも住むなら、アタシも!」

「姉ちゃんまで、何でだよっ」

みんなでアハハッて笑いあった。

我ながら、うちの家族は仲がいいなって改めて思う。

「たまには顔を見せに来なさいよ。母さんたち待ってるからね」

「…うん」

父さん、母さん、姉ちゃん…

ありがとう。


そして…ごめん。




寝る前に、話の行方が気になっているであろう櫻井さんに電話をした。

『そっか…本当にありがとな』

「いえ。家族みんな羨ましがってました」

『えっ、何で?』

「櫻井さんが人気あるからです」

『俺が?まさかぁ。人気なんてないって〜』

…全くこの人は。

自分の魅力が全然わかってないし。

『大野のご家族にも挨拶に行かないとなぁ。だけどまずはさ、明日の仕事後にウチ…見に来るか?』

「櫻井さんちに?」

『うん、そう。一度見ておいたほうがいいかなって思って』

「はい、わかりました。明日の仕事後ですね」

『忙しいのに悪いな』

「いえ、大丈夫ですよ。気にしないでください」

そんな話をしながら、櫻井さんとの電話を終えた。




櫻井さんちに行くの、初めてだよ?

…てか、数日後には一緒に住むんだよ?

何とか冷静を装ってたけど、もう無理。

胸がドキンドキンと跳ねている。

くぅ〜っ。

なかなか寝つけなくて、枕を抱えて顔を埋めた。





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