第89章 教室の片隅で
Oサイド
自分の子供が良く見えるポジション。
そういえば僕の母ちゃんもそんなこと言ってたなぁって思い出した。
「やっぱり…」
母ちゃんみたい。
目の前にいるその人は、何?ってキョトンとしている。
それがすごく可愛くて、チャイムが鳴り始めても僕は暫く眺めていた。
あれから1週間。
今日は僕が日直。
職員室で日誌を受け取り、教室へ向かう。
席に日誌とスクールバッグを置くと、石鹸の匂いが鼻を掠めた。
ギュッて抱きしめられる感触。
頬にあたる髪の毛。
「んふふ。おはよ、翔くん」
「おはよ…智くん」
母ちゃん…いや、翔くんのハスキーがかった甘い声がする。
ほんの数日前から、お互いを“翔くん”“智くん”と呼び合うようになった。
心の中で“地蔵くん”って呼ばれてたことを聞いた時はびっくりしたけど…愛着のある呼び方にかなり萌えた。
だから、僕的には“地蔵くん”でも良かったんだけど、流石に“母ちゃん”とは面と向かっては呼びにくいものがあったんだ。
「日直の僕より早く来たの?」
僕は翔くんの顔をのぞきこんだ。
「うん、早く会いた…んっ…」
そして可愛いことを言う、ぽってりした唇を塞いだ。
「ん、ふ…」
舌を差し込むと、そろそろ〜っと絡み始める。
「んっ」
「はぁ…」
壁際に翔くんの背中を押しつけて熱いキスをかわすと、体がゾクゾクッと疼いてきた。
やべっ、
立ってられないかも…。
そんなことを思っていると
「も、おし、ま、い…」
翔くんの色っぽい声が聞こえた。