第15章 もしも気づいてくれたなら

「センセ…。」

「んっ？あっ、笑ってごめんな。」

「いえ…気づいてもらえて嬉しいです。」

「えっ？」

「それ…。」

「んっ？」

「…キスしてるセンセの顔を想像して描いたんです。」

「櫻井…？」

「そんなの、気持ち悪いですよね…ごめんなさい。」

意を決したとはいえ、何だか先生に申し訳なくなってきて…顔をあげられない。

「櫻井。」

「……。」

「おーい、櫻井。」

先生が俺との距離を縮めてきたから、体が固まって余計に顔があげられなくなってしまった。

「お前なぁ。俺がさ、それ見て気持ち悪いって言ったか？」

俺は首を横に振ることしかできない。

「言ってないだろ。大丈夫ってことだから安心しろ。」

そーっと視線をあげると、俺より少し背の低い先生とバッチリ目があってしまった。