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キミとボク【気象系BL】

第89章 教室の片隅で


Oサイド

机のとこまで来た僕は、スクールバッグを置いて机の中をのぞいた。

視線の先にノートが見える。

良かった…。

ホッとして肩をおろすと、机の右前に母ちゃんの足が見えた。

何だかね、見守ってくれてるんだって…それだけで胸が熱くなってきたんだ。

そしたら、無性に母ちゃんの顔が見たくなって。

母ちゃん…

言葉を発するわけでも笑顔になるわけでもなく、僕はゆっくり顔だけ上げた。

僕と目があった母ちゃんは

「あったんだね」

って言ったんだ。

僕はちょっとびっくりしつつ、机の中に手を入れてノートを取り出した。



お互いの手にはお揃いのノート。

やっぱりそれが嬉しくて、自然と笑顔になった。

母ちゃんが優しく微笑んでるのを見て、ドキンと胸が大きく跳ねる。

ノートがあったこと、母ちゃんはどうしてわかったんだろう。

だから僕は母ちゃんに近づきながら、どうしてわかったのかを聞いてみたんだ。

母ちゃんは何も答えなかったけど…

ふわり、と僕のことを優しく胸に包み込んでくれた。



あったかい…

母ちゃんの胸からも、僕と同じようにドキドキと音がする。

僕は母ちゃんの胸に頭を擦り付けながら、ぎゅっと抱きしめ返した。

やっぱり僕は母ちゃんのことを…。

ノートが僕の手からスルリと落ち、パサッと音がした。

その音が僕の胸を更に高揚させていくのを感じた時、母ちゃんが僕のことをぎゅっとした。

僕の頭に母ちゃんの顔が擦り付けられる。

もう、嬉しいやら恥ずかしいやら。

そして。

もう一度パサッとノートが落ちる音が聞こえたんだ。






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