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キミとボク【気象系BL】

第89章 教室の片隅で


Sサイド

机に辿り着いた地蔵くんはスクールバッグを足元に置き、床に膝をつきながら机の中をのぞき込んだ。

2〜3秒してから顔だけあげた地蔵くんが、真顔で俺を見る。

何となくだけど…その表情を見て

「あったんだね」

俺はそう声をかけた。



表情を変えないまま地蔵くんの手が机の中に入っていく。

立ち上がった地蔵くんの手には、俺のと同じノート。

そこでやっと地蔵くんの表情がふにゃりと柔らかくなったんだ。

ドキンと俺の心臓が大きく跳ねる。

「んふふ。あった」

何だろう。

目の前にいるこの人がすごく愛しいんだ。

「ねぇねぇ、どうしてわかったの?」

自分でも、どうしてわかったのかはわからない。

だけど、地蔵くんの表情が“あったよ”って言ってるように見えたんだ。

「ねぇ、何で?」

って、垂れ気味の可愛い瞳をキラキラさせながら嬉しそうに俺に近づく地蔵くんを…

俺はそっと抱きしめた。



やっぱり俺は地蔵くんのことが…。

そう思っていると、地蔵くんの手も俺の背中に回ってきて、ぎゅっと抱きしめてきた。

地蔵くんの頭が胸に擦り付けられ、地蔵くんが持っていたノートがパサッと床に落ちた音がした。

俺はもう堪らなくなって、地蔵くんを更にぎゅっと抱きしめた。

地蔵くんの頭に俺の顔を擦り付けると、俺の手からもノートがスルリと落ちていった。







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