第87章 夢でいいから
温もりが暖かくてウトウトしはじめた頃。
「んっ…」
体を動かした時の、妙に色っぽい翔の声。
耳に残って振り払おうにも振り払えないそれに、俺の体が疼きはじめた。
「んっ…」
再び声を出しながら、眠っている翔の腕が俺の首に絡んでくる。
やばい…
まずい…
そう思えば思うほど、中心に熱が集まってくる。
そして…俺の中心は勃ってしまった。
「んっ…」
意識すればするほど、翔の色っぽい声は耳に残る。
翔に引き寄せられ密着度が増し、中心の疼きが止まらなくなった。
「あ、れ…?」
うっすらと瞼を開きはじめた翔。
「さ、と…?」
ぽわんとした表情の翔が可愛すぎて、胸がキュンとする。
この状況はまずいなって思いながらも、体は翔に絡み付いたまま離れられずにいた。
「さとにぃ…すき…」
翔の唇が俺の頬に触れて…
胸の鼓動が高鳴る。
「さとにぃは、してくれないの?」
声だけでなく表情まで色っぽい翔に吸い込まれるように、俺は顔を近づけた。
「ぎゅうってするだけじゃダメだったの?」
「我慢しようって思ったけど、無理そう」
「俺も同じだよ、翔」
「さとにぃ…」
俺は唇を翔の頬にあてた。
ちゅっ。
リップ音を立てながら、頬から下顎に唇を移動させていく。
視界に入る、翔のぷっくりした唇。
俺は両手で翔の頬を包んだ。
見つめあった翔の瞳は潤んでいて、期待しているようにも見えた。
「翔、好きだよ」
俺は目の前にある翔の唇に自分の唇を重ねた。