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キミとボク【気象系BL】

第87章 夢でいいから



息がかかりそうな距離にある二人の顔。

小さな頃は“ごっちーん”“いててっ”なんてよくふざけながら、おでこをくっつけあいっこしてたのに。

お互い二十代半ばだし、やっぱり…気持ちがあるから、かな。

ちょっと照れくさくて、顔がカーッと火照ってきた気がする。

「さと兄」

「ん?」

「なんか照れるね」

「んふふ。俺も」

「ねぇ、さと兄。俺ね、他の人とはこんなことしないよ」

「俺だってしねぇよ」

「それって…さと兄もさ、好きな人とじゃなきゃしないってこと?」

「そうなる…かな」

「あ、あのさ。俺と今こうしてくれてるのは…」

翔が震えているのが伝わってきて、俺はぎゅうっと抱きしめ直した。

「弟だけど片思いの人だから」

「ありがとう、さと兄」

「翔もありがとな」

「うん」



安心したのか、暫くするとスースーと寝息が聞こえてきた。

この状況で普通寝るか?って思ったけど、何だか翔らしくて笑えてきた。

「翔、起きて?」

声をかけたけど起きやしない。

体を離そうとしても、しっかりしがみついている。

しょうがねぇなぁ。

俺は手を伸ばして、ベッドから毛布を引っ張りとった。

1枚の毛布を二人の体にかける。

目の前にある、翔の寝顔。

ぷっくりした赤い唇にくぎづけになる。

その時、唇が半開きになって…ハッと我にかえった。

これ以上は望まないと言った翔の気持ちを大切にしてあげないと。

俺はブンブンと頭を左右に振った。

「翔…」

溢れそうになる気持ちをしずめるように、俺は翔の体に腕と脚を絡めた。

“抱き枕にさせてもらった”って言い訳できる、かな。


…そう思っていたのに。

体はしっかりと反応してしまっていたんだ。






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