第14章 only love
俺は腰をジリジリと移動させて智くんの側に詰め寄った。
「な…に…?」
その言葉には返事をせずに智くんの前髪をかきあげると、身体をビクッとさせた。
「…しょぉくん?」
その呼び掛けにも返事はしてあげない。
「ねぇってばぁ…。」
目を潤ませてじっと俺を見ている。
そんな目で見ないでよ…。
俺は智くんのおでこにキスをした。
「いつもこうやってしてくれてるじゃない。」
俺の言葉に目を見開き、ヒュッと息をのむのが聞こえた。
「…気づいてた、の…?」
動揺している智くんの唇に、顔を近づけていく。
「ちょっ、ちょっと待って!」
それでもなお、手で俺の胸を押すんだ。
「あなたはずるいよ。」
「なに…が…?」
「俺の気持ちは受け止めようとしないくせに…。」
「えっ…?」
「なんでキス、なんか…。」
「……。」
「ずるいよ…。」
俺の涙が自然と溢れてくる。
「しょぉくん…。」
あなたにはストレートな言葉で
俺の想いを伝えたい。
そうでないと
聞いてくれないでしょ。
「好きで好きで堪らないんだよ…。」
「……。」
「あなたを想うだけで、涙が出てくるんだよ…。」
智くんは俺をじっと見ている。
「あなたがいてくれないと…俺は幸せじゃないんだ。」
…視界の先にいる智くんの目から、涙が一筋流れるのが見えた。