第85章 のぼせ注意報
背中にあった櫻井の手が、ゆっくりと俺の肩に移動してくる。
二人の間に空間ができ、目と目が合った。
「大野くんにそんな風に言われたら…俺、本気にしちゃうよ」
「いいよ、本気にして」
俺は片手を伸ばしてシャワーを出した。
お互いの体に付いていた泡が落ちていき、ポタポタと流れる滴が櫻井の色気をより際立たせていく。
「櫻井、綺麗…」
ギュンッと天を向く俺の中心。
それを見た櫻井の目が見開かれた。
「大野くんを丸ごと暖めてあげたい」
頬を赤らめながら櫻井がそう言った。
「ホント…に?」
櫻井からの言葉が胸にじわっとくる。
…同じ気持ちだと思っていいのかな。
俺はシャワーを止めて、櫻井を見つめた。
瞳が揺れている櫻井の顔に、自分の顔を近づける。
「櫻井…好きだよ」
「俺も大野くんが…好き」
唇が触れそうなくらい近づく、お互いの顔。
「今ね、ものすごく櫻井とキスしたい」
「俺、緊張してヘタッピかもしれないけど…それでもいい?」
「それは俺だって…」
「ふふっ。それなら安心した」
しばらく沈黙の時間が流れる。
だけど胸の鼓動は聞こえてるんじゃないかってくらい、バクバクしていた。
「キス、しよっか」
「うん、キス…しよ」
「んっ…」
重なる唇から伝わる、好きって気持ち。
これは妄想じゃない。
俺…
櫻井とキス、してるんだ。
「んっ…」
「はぁ…」
息づかいが浴室に響く。
それが益々俺を煽っていく。
櫻井の唇も体も離したくない。
俺たちはキスしたままベッドへとなだれこんだ。