第83章 あなたに染まる
「ここかな…」
「うん、そのあたり」
「翔くん、大丈夫?」
「痛くないから…続けて、智くん」
「それならいいけど…」
「智くん、大丈夫?」
「ん〜っ、入るかな」
「大丈夫だよ、ちゃんと入るよ」
「穴…小さすぎじゃね?」
「いやいや、みんな同じ大きさだと思うけど」
「そうかなぁ」
「うん、そうだよ」
「じゃあ入れるよ」
「うん、お願い…あんっ」
「な、なんだよ。変な声だすなよ」
「だって、智くんの触りかたが…」
「慣れてないんだから仕方ないだろ」
「そうだね、ごめんね」
「いいよ、大丈夫。よし、気を取り直して…」
「んっ…ふ」
「ちょ、ちょっと翔くん」
「な、なに?」
「変な声出すなって」
「だ、だって…。くすぐったいし…」
「少しだけ我慢して」
「うん…」
俺はぐっと我慢した。
智くんの顔が近いし、触れる手は優しいし。
もう、ドキドキする…。
「痛くない?」
「うん、痛くないから…」
「おっ。入ったよ、翔くん」
「本当?智くん、ありがとう」
「んふふ、やっぱり赤だな。翔くんには赤いピアスが似合うよ」
智くんが俺の誕生日プレゼントにくれた、赤いピアス。
「つけてあげる」
そう言って智くんが、赤いピアスを俺につけてくれたんだ。
“赤”って言ってたのが、やっとわかったよ。