第82章 Dear Snow
翔くんと俺は、翔くんが大好きなチーズケーキを買って俺の家に向かった。
「どうぞ」
「お邪魔します」
ウチに翔くんがいる…。
それだけでもう俺の気持ちは舞い上がっていた。
「翔くん、誕生日おめでとう」
「ありがとう、智くん」
積もる話は尽きることはなくて。
あっという間に時間は過ぎていく。
翔くんのカッコイイ低音ハスキーボイス、くるくる変わる表情、リスを思わせるもきゅもきゅした食べ方、懐かしい仕草。
そのどれもが愛しくてたまらない。
時間よ、止まれ…
段々とそんな気持ちになっていく。
「翔くん。明日も仕事…だよね」
「うん…そろそろ帰らないと…えっ、あ…」
俺は思わず翔くんを抱きしめた。
ぎゅうっと…ぎゅうっと…ぎゅうっと…。
あの頃は制服を着ていてもほっそりしているのがわかるくらい華奢だった翔くんの身体。
それが今は腕も背中も筋肉がついていて、とても逞しくなっていた。
色んな思いが溢れてくる。
「俺…高校の時から…翔くんのことが…好きで好きで好きで…」
「俺もね、智くんのことが好きで…ずっと想ってたよ」
翔くんの手が遠慮がちに俺の背中に回ってきて、顔も身体もカーッと熱くなってくる。
見合わせた顔は、翔くんも真っ赤になっていた。
それがすごく可愛くて。
キス…したくなった。
どちらからともなく重ねた唇は、愛しい相手を包むように優しくて柔らかくて甘かった。