第81章 あなたに会いたくて
またすぐにピタッと山の動きが止まる。
5秒経ってもそのままだったから、俺は形に沿って山を撫でてみた。
「翔くんの顔が見たいなぁ」
俺から遠いほうの丸みを撫でつつ、その真ん中にある窪みを右手の中指でなぞっていく。
山が再びモゾモゾと動き出し
「さとしくぅん」
俺の名前を小さく囁くのが聞こえた。
「あれ?いま俺が触ってるの、翔くんの頭じゃないのかなぁ」
はじめから気づいてる…てか、これも想定内のこと。
ベッドの足元に俺が腰掛けるスペースを作ってくれるのも、拗ね拗ねモードな翔くんのお決まりのパターン。
それが可愛くてたまらない俺。
自分でもバカップルかよって思う。
俺は中指の先で窪みを押しながらなぞり、刺激を与えてみた。
山がビクンビクンと動く。
「さとしくぅん…そこ、お尻だよぉ」
俺の右太腿にモゾモゾと重みが乗っかり、掛け物からキミの頭が少しずつ現れ始めた。
ボサボサになっている黒髪。
頬が紅潮している白い肌。
おっきくて綺麗な瞳。
赤くぷっくりした果実のような唇。
膝枕状態で、下から俺を見つめる綺麗な顔。
「おかえり」
柔らかい声の響き。
「ただいま」
やっと見れた翔くんの頭を優しく撫でると、翔くんの腕が俺の腰に回ってきてギュウッと抱きついてきた。