第81章 あなたに会いたくて
んふふふふ。
俺が半日前倒しで帰ってきたら、翔くんびっくりするだろうなぁ〜。
年末年始を実家に帰省していた俺は、愛の巣で帰りを待っているであろう可愛い恋人の顔を浮かべながら、そぉっと玄関のドアを開けた。
あ、翔くんの匂い…
大好きな匂いがふわりと鼻腔に広がり安心する。
今は23時半。
本来なら明日の昼頃に帰宅するはずだったけれど、父ちゃんと母ちゃんに急きょ用事ができたのもあって、そのぶん俺は早く帰ることにした。
翔くんには何回かメールを送ったけど、未だに未読になっている。
いつもならすぐに返信があるのにね。
だけど、それは想定内だ。
だいたい毎年この期間はそうだから。
ふふっ。
翔くんらしいな。
ゆっくり寝室のドアを開けると、ルームライトの薄明かりに浮かぶ、こんもりとした山。
んふふ。
俺は笑みがこぼれてくる。
そのこんもりとした山に近づき、ベッドの端に腰かけた。
「おーい、何してんの?」
ポンポンと山に当てる手に感じる、柔らかい温もり。
返事はないけど、山がモゾモゾッと少し動いた。