第81章 あなたに会いたくて
「智くんの匂いがする…」
そう言いながら、翔くんの腕に力がこもった。
『付き合いを続けるなら年末年始はそれぞれの実家で過ごすこと』
それがお互いの家からの条件。
そうして3回目の年末年始を迎えた。
「俺もね、玄関入ったら翔くんの匂いがしてホッとしたよ」
「ホント?嬉しいな…」
翔くんがゆっくり身体を起こす。
ほわんとしていて可愛い。
「ねぇ、翔くん…」
「さと…んっ…」
5日ぶりに触れた翔くんの唇はとても温かくて、胸が震えた。
「んふふふふ」
「ふふっ」
会えない時間も無駄なんかじゃない。
その先にあるもの…
例えばね。
拗ね拗ねモードの可愛い姿や、1年の始まりをこんな風に甘く過ごせるのが楽しみだなんて言ったら…翔くんは怒るかな。
「あのね、智くん」
「ん?」
潤んだ瞳で俺を見る翔くん。
「待ってた…」
その綺麗な瞳に吸い込まれるように再び唇を重ね、ゆっくりとベッドに身体を沈めた。
END