第70章 クリームソーダ
(Sサイド)
智くんがアルバイトをしている喫茶店。
お客さんとして智くんと一緒に行くのは今日が初めてで。
なんか…なんかね、サプライズでもあるのかなって内心ドキドキしていた。
しかも…
マスターが智くんにニヤッとしてたの、気づいちゃったし。
だから智くんから目が離せなくて、ジーッと見ながら大好きなクリームソーダを食べてたんだ。
そしたら、アイスが口の回りに付いてるって言われて。
手で拭おうとしたら、その手を智くんに握られた。
きた!
そう思った。
だけど…智くんに手を握られたり“好き”って言われたら頭の中が真っ白になっちゃって。
ドキドキが止まらなくなって。
しかも…智くんの唇が…俺の唇に触れて…
キスまでされて。
俺はもう、クリームソーダのしゅわしゅわ以上に弾けちゃって。
いつの間にかね、智くんに“好き”って言っちゃってたみたい。
何だかね、嬉しいし、恥ずかしいし…
あぁ、もう照れまくりだよ。
「翔くん、大丈夫?」
「うん…大丈夫」
「あのさ…」
「な、なに…」
「これからさ、ウチ…行く?」
「智くんの家?」
「うん…そう」
智くんの家には何度か行ったことがあるけど…初めて誘われた時と同じくらい…いや、それ以上にドキン、とした。
自分でも、それがなぜなのかは…わかってる。
「うん、行く」
俺はそう答えたんだ。