第64章 秋がくると。
「今でも覚えてるんだけどさ。」
「ん?」
「しょーくんの図工の作品。『ぼくのドングリまなことちっちゃな手』だったかな。」
「あっ…。」
「顔と体の形をマジックで書いて、目のとこにドングリ、手のとこに紅葉を貼り付けててさ。」
「智くん。それさ、忘れていいからっ。」
「忘れられないよ。みんなの作品が教室の後ろの壁に並んでたけど、授業参観に来たお母さんたちの1番人気だったし。」
「笑われてただけでしょ。」
「違うよ。俺、あの作品好きだったよ?あの3人がさ、しょーくんみたいって言った時、なるほどなって思ったし。だからしょーくんも作品にしたんでしょ?」
「うん。あの時は嬉しかったんだけどね。やっぱりね、俺にとっては可愛い思い出とはちょっと違くてさ。ちょっぴり苦さの残る…みたいな。」
「そっか。そうだよね。思い出のポイントはさ、人それぞれだもんね。」
「うん。」
俺は、ドングリと紅葉をサイドボードに戻し、しょーくんの左手をとった。
「小さめの紅葉くらい小さかった手がさ、今では俺の手よりも大きくなって…。」
手にちゅっ。
「智くん…。」
「可愛いらしいドングリ眼はさ、昔と変わらなくて…。」
額にちゅっ。
「もっともっと好きになっていって…。」
唇にちゅっ。
「んっ…ふ…。」
「その声も…。」
鎖骨にちゅっ。
「あっ…ん。」
「体も丸ごと…。」
「やっ…。」
シーツの中に隠されている、しょーくんの中心に触れた。
「さと…く…。」
勃ちはじめたお互いの中心。
「しょーくん…。朝からは…やっぱりイヤ…?」
唇を甘噛みしながら聞いてみる。
「ん…はぁ…仕向けたくせに…。」
しょーくんの舌がゆっくりと差し込まれ、俺の舌を絡めとったんだ。