第64章 秋がくると。
俺は、できればしょーくんと二人きりが良かった。
だってね、「ドングリ見ぃつけた!」ってキラキラおめめのしょーくんのことを、誰にも見せたくないって思ったから。
しょーくんが他の子も一緒にって言うなら仕方がない、残念だなって。
そしたら、
「沢山集めたからもう拾わなくても大丈夫だよ。だけど僕たち、翔くんに見せたいのがあるんだ。」
3人はそう言ったんだ。
袋一杯のものとは別に、手の中にも何やら持っている。
それを見せてもらうと、丸めの形のドングリ2つと、小さめの紅葉が2枚あった。
「これさ、翔くんの可愛い瞳と手に見えるでしょ。」
あぁ、たしかにって思った。
「僕の手、こんなに小さい?」
しょーくんは紅葉を手に取り、自分の手の大きさと比べ始めた。
「わぁ、すごいね。僕の手の大きさとほぼ変わらないよ。」
嬉しそうにニッコリするしょーくん。
3人に視線を向けると、優しい眼差しでしょーくんを見ていて。
俺と3人は顔を見合わて、クスッと肩を竦めたんだ。
その時、心地いい秋めいた風が吹いたんだけど…
男の子を好きになってしまった自分の気持ちに
言い知れぬ想いを感じた瞬間でもあったんだ。