第64章 秋がくると。
俺たちの出会いは、小学1年生の時。
当時のしょーくんは一番小さくて、可愛くて、優しくて、頭も良くて。
クラスのマスコット的な存在だった。
まぁ、本人はマスコット的…なんて自覚はなかったと思う。
男女問わず、誰もがしょーくんと一緒にいたくて。
俺も…と思いつつ、中々しょーくんには近づけずにいた。
そんな俺にもチャンスが巡ってきたのが、秋の遠足でのペア作りだった。
案の定、クラスのみんながしょーくんとペアになりたいって言い出して。
誰か1人を選ぶことなんてできないと、しょーくんが泣き出してしまったんだ。
みんながまだワイワイしてる中、俺はしょーくんの傍に行き、ハンカチで涙を拭いてあげた。
「んっ…グスッ…ありがとう…グスッ…。」
チラッと俺を見たしょーくんにキュンとした。
初めての気持ちにドキドキしていると、しょーくんは俺の手を引き、先生の所に行ったんだ。
「ふぇっとぉ。しぇんしぇい。しゃくらいしょうは、おおのしゃとしくんとペアになりましゅ。グスッ…。」
「はい。櫻井くん、良くできました。大野くん、ありがとね。」
先生はしょーくんと俺の頭をポンポンしてくれた。
俺がしょーくんを見ると、しょーくんも俺を見て、ニコッと微笑んでくれて…
天使がいるって思った。
遠足当日。
俺はペアのしょーくんと手を繋いでドキドキしていた。
同じ年だけど、俺より小さな手。
ギュッと握るのは気が引けて、そっと握ったんだ。
だから、しょーくんのほうからギュッてしてきてくれたことがすごく嬉しかった。
森林公園に到着すると、図工で使う葉っぱやドングリを拾う時間が設けられた。
しょーくんと一緒に拾い集めていたら、クラスの男子3人がこっちに来るのが見えた。
「一緒に拾う?」
3人が俺たちの傍に来たことに気づいたしょーくんが、そう話しかけたんだ。