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キミとボク【気象系BL】

第63章 キミって…



職員室の中は涼しくて、熱くなった俺の心と体が少しずつ落ち着いてきた。

「おっ。ご苦労さん。」

担任はそう言いながら、麦茶を俺たちに出してくれた。

何だよ、いいとこあるじゃん。

「ありがとうございます。いただきます。」

一気に飲み終えた俺の隣では、大野くんがチビチビと飲んでいる。

「何だ、大野。お前、麦茶嫌いだったのか?」

担任も気になったみたいだ。

「いえ…その…。前に家庭科の授業で誰かが“得意料理は麦茶”って言ってたのを思い出して。」

「麦茶は料理じゃないだろう。可愛いな、そいつ。」

「ですよね。初めての家庭科でみんな緊張してたんですけど笑いに包まれて。その場が和んだんです。」

…それ、俺だ。

他に思いつかなかったし、俺が作る麦茶は本当に美味しいんだから。

“その場が和んだ”って言われて、ちょっぴり嬉しい。

だけど、いつまでも談笑する二人の姿にモヤッとしてきた。

「そうだ。先生、大野くんの宿題のことなんですけど…。」

俺は話題を変えたんだ。

経緯を話すと担任は申し訳なかったと謝ってくれて、今後は気を付けると言ってくれた。



「はぁ…。明日は全身筋肉痛になりそうだなぁ。」

「草むしりなんて滅多にしないもんね。」

「大野くんは大丈夫?」

「うん、多分ね。俺、ダンスやっててさ。意外とね、体が柔らかいの。」

「へぇ…そうなんだ。ダンスかぁ…見てみたいな。」

「そう?それならさ…。」

大野くんが俺の腕を掴んだ。

「いいとこあるんだ。」

「…えっ?ちょっ…。」

とりあえず、母さんに帰りが少し遅くなるかもしれないと連絡を入れさせてもらった。

「ほら!早く行こ。」

大野くんは嬉しそうというか楽しそうというか。

再び俺の腕を掴んで、グイグイ引っ張って行く。

…俺、どこに連れて行かれるの?






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