第61章 夏の終わりに。
ドキドキドキドキ…
胸の鼓動の高鳴りが強まる。
俺を抱きしめる大野先輩の腕が少し緩み、左頬にあたっている頭が動き始めた。
俺の顔の角度が少しずつ変わっていくようなその動きに、もしかして、って…。
そう思ったら途端に恥ずかしくなって。
イヤじゃないのに顎を引いてしまった。
先輩と目が合う。
「俺もしょーくんが好きだよ。」
囁くように言われ、再び顔が近づく。
俺はキュッと先輩のシャツを握った。
パ〜ンッ…
花火が上がり、大野先輩の潤みがちな瞳と艶のある唇が目に映る。
恥ずかしさはまだあるし緊張もするけど、触れたくて…触れてほしくて。
俺も顔を少しずつ近づけていった。
ぷちゅっ。
大野先輩と俺の唇が重なった。
先輩の手が俺の後頭部にも添えられて、顔が一気に火照り始めた。
大好きな人とのキスに興奮する。
「んっ…。」
「はぁ…。」
角度を変えて何度も唇を重ねた。
ヒュ〜ッパーン…
ドーン、ドーン…
パンパンパンパン…
パラパラパラパラ…
花火大会のクライマックスが耳に聞こえてきた。
ふふって笑いあって。
俺たちは、ちゅっ。として唇を離した。
どうしよう…
大野先輩とキスしちゃった。
顔を上げられないでいると、大野先輩が俺の頭をポンポンした。
「えっ…。」
「んふふ。」
大野先輩が俺のほうを向いて寝そべったから、俺も同じように先輩のほうを向いて寝そべった。