第60章 きみに…きめた。
「翔くん、いらっしゃい。」
「智くん、会いたかったぁ~。」
「ふふっ。3時間前まで一緒に仕事してたのに。」
「智くんにはすぐ会いたくなっちゃうんだ。智くんもそうでしょ。」
ニヤッと笑う顔もカッコよくて好き。
「うん。俺も早く翔くんに会いたかった。」
俺は靴を脱ぐ翔くんの後ろから抱きついた。
この広い背中が好き。
「ふふっ。嬉しいよ。」
振り返った翔くんの綺麗な顔が近づいてくる。
頬を優しく包まれて
ちゅっ。
赤くぷっくりした翔くんの唇と俺の薄い唇が重なる。
「んっ…しょ、く…。」
「はぁ…さと…。」
舌を入れると、待ってましたとばかりに翔くんの舌にすぐ絡められる時もあれば、焦らされる時もあるけど…翔くんとの熱いキスはずっとしていたいくらいに好き。
ちゅっ。て触れるだけのキスも好き。
「翔くん…ベッド…行こ?」
「俺、汗臭くない?」
「ううん、大丈夫。」
「そう?智くんがいいなら…。」
手を繋いでベッドまで行く。
「翔…。」
「智…。」
家で二人きりになった時、たまにだけど“くん”をつけずに呼びあう。
翔くんの低音ハスキーボイスで呼ばれると、ゾクッと痺れる…その感覚がたまらなく好き。
お互いの服を脱がせあう。
その時の、翔くんの少し開いた唇、憂いを帯びた瞳、紅潮している頬、息づかい…興奮してきているその姿が好き。
俺を見ている瞳、俺に触れる手が好き。