第60章 きみに…きめた。
俺の恋人は、メンバーの翔くん。
顔はもちろん大好き。
声も…身体も好き。
賢いとこもヘタレなとこも好き。
食べてるとこも好き。
歌ってるとこも…ダンスしてるとこも好き。
新聞を読んでる姿も好き。
好きなところはまだまだいっぱいある。
そんなことを考えながら、楽屋で1人、俺はお弁当を食べていた。
「あっ、智くん。早かったんだね。」
俺の名前を呼ぶ、翔くんの独特のイントネーションが好き。
俺に向ける笑顔が好き。
「今日は唐揚げ弁当か。…あれっ?こっちは焼き肉弁当だ。」
「えっ?焼き肉弁当もあったの?」
「うん。そうみたい。唐揚げは1つ、焼き肉は3つかぁ…。」
「ごめん。重なってたから俺、気づかなくて。」
「ううん、智くんは悪くないよ。そっか…唐揚げは相葉くんが喜びそうだよね。俺は焼き肉にしよ。」
翔くんのメンバー思いなとこも好きだ。
「翔くん。」
「ん?」
「俺の唐揚げ弁当と翔くんの焼き肉弁当さ、わけあいっこしようよ。」
「えっ、いいの?」
「うん。翔くんさ、本当は唐揚げのほうが食べたかったんでしょ。」
「わかっちゃった…?」
「少し迷ってたから、そうかなって思って。」
「智くんにはお見通しかぁ。」
エヘッて子どもみたいな表情も好き。
「翔くん、口の周りにタレが付いてる。」
「ホント?どこどこ?」
そう言いながらゴシゴシ手で拭ってるのに、微妙にそこじゃないんだよなぁ。
「ここだよ。」
俺は顔を近づけて、翔くんの口角をペロッと舐めた。
「なっ、なっ…。」
不意打ちに弱い翔くんが好き。
「翔くん。今日…ウチにおいで。」
「…うん、行く。」
もう何度もウチに来てるのに、誘うと毎回頬を紅く染めながら返事をするのが、可愛らしくて好き。
俺をこんなに幸せな気持ちにさせてくれる、翔くんが好き。