第59章 途中下車
楽屋に戻った俺の雰囲気に、メンバーはホッとした表情をしていた。
智くんは小さく頷いていた。
夜、合鍵を使って智くんちに入る。
家の主がいない部屋で過ごすのは、もう何度目になるだろう。
脱いだ靴を揃えていると、ガチャッと玄関のドアが開く音がした。
「翔くん!」
「智くん…って、うわっ!」
立ち上がる間もなく抱きつかれ、そのまま押し倒された。
ハァハァ…
貪るようにキスをする。
そしてあなたは俺のシャツのボタンを外し始めた。
「智くん…ここ…玄関…。」
「ふふっ。夢中になっちゃった。」
30代半ばとは思えないくらい可愛らしいあなた。
だけど、ベッドの中では違う一面を見せてくれるんだ。
誰も知らない、俺だけが知っているあなたの姿を。
「いや…ん。智くん、だめ、そこ…。」
「何がだめ、なの…?」
「そこばかり…いじっちゃ…。あっ…ん。」
「翔、可愛い。」
「智くん…んぁっ…。」
長らく身体を重ねていなかったし、男の色気たっぷりのあなたに、俺も夢中になったんだ。