第59章 途中下車
嵐を結成した頃、智くんとよく語り合ったベンチ。
錆が増えてギシギシ鳴るけど、当時のままそこにあるのが嬉しい。
回りの風景もだいぶ変わったし、俺たちを取り巻く環境も…そして俺たちも成長した。
ふふっ。
智くんへの俺の気持ちは変わらないや。
本当に大好きで大切な人。
これからもずっと。
うん。
この気持ちがあれば、大丈夫。
“恋愛感情として好きなんだ、翔くんのこと。”
10周年の時、智くんはそう言ってくれた。
自信を持て、櫻井翔。
俺はポケットの中にある、智くんちの合鍵をギュッと握りしめた。