第57章 好奇心の行方
“首筋に顔を埋めるのはキモチがいいのか”
最初は本当に、ただそれを知りたいだけだった。
僕が言葉にしなければ、智くんを巻き込むことはなかったのかもしれない。
ごめんね、智くん。
だから、もう……。
ハァハァ…ハァハァ…。
お互い呼吸を整える。
漸く落ち着くと、智くんが僕のおでこに張り付いた前髪を指で優しく払ってくれた。
その表情はしっかりと僕をとらえていた。
「翔くん。俺を好きになってくれたことまで、無しにしないで。」
ドキン…とした。
智くんも、母さんみたいに普段はボーッとしてるのに鋭いんだ。
こういう時の智くんは、有無を言わせない目をしている。
「あっ…。」
視界が回る。
気づいた時には、僕は智くんを見上げる体勢になっていたんだ。
「智くん…?」
「大丈夫だから、って言ったろ?」
そう言いながら、智くんは僕の手に指を絡ませてベッドに押し付けた。
いつもの可愛らしい感じではない、男っぽい一面にゾクリとした。
智くんは、僕の額に頬に顎にキスをした。
そして唇には、さっき僕が智くんにしたのと同じくらいの深いキスをくれたんだ。
頭が…顔が…胸が…ポーっとする。
「翔くん。これからは俺がシテあげるから。」
「えっ…?」
ゆっくり頷いた智くんが、僕の耳にちゅっ。とキスして、首筋に顔を埋めてきた。
温かくて擽ったくて、胸がジワッとしてゾクゾクして。
するのとされるのでは、また違う感覚があって。
ダメだ、ダメだと思うのに…止めてほしくなくて。
「んっ…。」
僕は絡んでいる智くんの手をギュッと握り返してしまったんだ。