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キミとボク【気象系BL】

第57章 好奇心の行方



カーテンから日差しが入る。

ほとんど眠れないまま朝を迎えた。

どんな顔をして智くんに会ったらいいのだろう。

僕はなるべく音を立てないよう、2段ベッドの梯子を降りた。

最後の1段に足をかける。

「しょおくん、おはよ。」

突然声がかかりビクッとした。

「さ、智くん。お、おはよう。」

いつもならまだ眠っているはずの智くんが、ベッドの布団の上にペタンと座っていた。

「智くん、早いね。」

「うん。あまり眠れなかったから…。」

「俺も…。」

「そっか。」

そう言いながらベッドから出てきた智くんが、

「しょおくん、好き。」

小さな声で囁いた。

「えっ…。」

「んふふ。」

ふにゃんと笑いながら部屋のドアを開けるから、僕も後について行った。



「おはよう。」

キッチンにいる母さんに、二人で声をかけた。

「あら、おはよう。」

母さんの声が何となく弾んでいる。

「母さん、何かいいことあった?」

「翔くん。ほら、顔を洗いに行こ。」

慌てるようにして智くんが言った。

「そ、そうね。早く行ってきなさい。…あら、智ったら。ボタンかけ間違えてるわよ。」

「あっ…。」

「昨日の夜は、ちゃんと留めてあった気がするけど…。」

母さんの呟きを背に受けながら、二人で洗面所に向かった。



「ハァ…。母さん、鋭いよなぁ。」

「んふ。普段はボーッとしてるのに、意外と気づくから。」

翔くんも鋭いけどねって言われたけど、よくわからなかった。

「今度からは気をつけないとね。」

「そうだね…。」

迂闊な行動はできないなと思いながらも、智くんとの秘密の行為は止めたくないと思った。

そんな僕の様子に気づいたのか、智くんが回りを見渡してから、手をキュッと握ってくれた。

「翔くん、大丈夫だから。」

その声はとても優しくて、絶対手放したくないと思ったんだ。





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