第57章 好奇心の行方
「ちゅっ。ちゅっ。」
「んっ、はぁ…。翔くん…。」
この日は、智くんのパジャマのボタンを半分外し、肩に手や唇を這わせるところまでで止めた。
智くんの小さな胸の突起がチラチラ見えて、ふと我に返ったからだ。
「智くん…今日はもうここまでで…。」
「んっ、翔くん…ありがと…。」
「おやすみ…智くん。」
智くんのいるベッドを出て梯子に手をかけた。
「あっ、待って。」
僕を呼び止めた智くんが身を乗り出した。
智くんの顔が近づいてくる。
僕はびっくりして身体が動かない。
ちゅっ。
智くんの唇が僕の唇と重なった。
えっ…
智くんの柔い唇の感触に浸る間もなく、それは離れていった。
「さと…。」
「翔くん、おやすみっ。」
頬を赤らめた智くんが、布団をすっぽり被ってしまった。
「智くん…。」
僕はゆっくり梯子を上り、ベッドに入った。
胸の高鳴りは収まることはなかった。
唇と手、全身に残る智くんの暖かみ。
僕は火照る身体を抑えるように、自分の身体を抱き締めて、時間が経つのを待ったんだ。