第10章 恋ごころ
誰もいなくなった図書室。
僕は片付けを始めた。
「ねぇ、まだ大丈夫かな。」
えっ…?
振り返ると、そこには大野先輩がいた。
うわっ…目が合っちゃったよぉ…どうしよう…。
先輩が僕に近づいてくる。
「あっ、本はもうお決まりです、か…?」
僕は恥ずかしくなって視線を下ろした。
「いや、本じゃないんだ。」
本、じゃない…?
「櫻井翔くん。」
「えっ?何で僕の名前…。」
あっ、思わず顔をあげちゃった。
「ふふ。今日は2回も顔が見れて嬉しいよ。」
「あ…。」
「でしょ。」
「…ですね。」
二人でクスクス笑いあった。