第57章 好奇心の行方
ドキン…ドキン…
顔を埋めて暫くそのままでいた。
じわじわと感じる、智くんの体温。
少し日に焼けた肌。
甘くていい匂い。
僕はそれに誘われるように、智くんの首筋に唇を当てた。
「あっ…ん。」
智くんから漏れる声。
充分そそられるものがった。
やり方なんて知らない。
だけど、僕は夢中だった。
ちゅっ。ちゅっ。としながら、唇を首筋から鎖骨に移動させていく。
ビクンと智くんの身体が小さく跳ねた。
「智くん…大丈夫?イヤじゃない…?」
「イヤなわけな…あっ…ふ、ん…。」
いい声…。
「僕…何となくわかったような気がする…。」
「そっ…あっ…。」
僕は智くんを一度ギュウッと抱きしめて、唇を離した。
「翔…くん…?」
「うん、もう大丈夫だから…。」
これ以上続けていたら、どうにかなってしまいそうで。
なのに。
「もうちょっとだけ、して。」
「智くん…。」
智くんが僕の首に腕を回すから…
僕は再び智くんの首筋に顔を埋めたんだ。
こんなこと、していいなんて思ってはいない。
ましてや、僕たちは血の繋がった兄弟。
だけど本能が求めるから…
止めることなんてできなかったんだ。