第56章 ボクたちのカタチ
(Oサイド)
俺なりの言葉で、翔に対する思いを伝えた。
翔は喜んでくれつつも、俺に言って欲しい言葉が他にあると言う。
俺自身でその言葉を導き出さないと、きっと意味がないのだろう。
翔のやつめ…。
目の前にいる翔は、俯いてしまっている。
「翔。」
「なに…って、いててててっ。」
くくくくくっ…。
俺は翔のまぁるい額にデコピンしてやった。
「もうっ。智くん、何するんだよぉ。」
おっきな目を潤ませながら、額を擦ってる翔。
そんな顔して睨んでも、可愛いだけなのに。
何だろうな…。
滅多にはしないけど、こんな小学生っぽいおふざけも翔にだからしたくなる。
翔にだけ…。
ん?
これって、好きな子をなんちゃら…ってやつなんだろうな。
好きな…好きな…
あぁ、そうか。
そういうことか。
1人で納得している俺を、翔は首を傾げて不思議そうに見ていた。