第55章 願いのもとに
日付が変わるまであと30分。
ショーちゃんは寝床でゴソゴソしている。
俺もそろそろ眠ろうかな。
歯磨きをしてソファーでひと休みしていると、カチャカチャと玄関の鍵が開く音がした。
ウチの鍵を持っているのは、俺とあと1人だけ…。
玄関が開くのと同時に香る翔くんの匂い。
「智くん、ただいま。」
そこには俺の大好きな笑顔があって。
「翔くん!」
俺はその胸に飛びついた。
「おかえり。翔くん、翔くん。」
「やっと会えた。」
「うん。会いたかった。」
俺たちはどちらからともなくキスをした。
靴を脱ぎ、リビングに向かう翔くんの背中にしがみつく。
「もう。智くん、重いって~。」
「んふふふふ。翔くんへの愛情の重さだから。」
「嬉しいな…。俺、汗臭いでしょ。シャワー…。」
「いい、しなくていい。今すぐ翔くんが欲しい。」
「智くん…。長い間ごめんね。」
俺は翔くんの正面にまわり、翔くんの頬に手を添えて再びキスをした。
熱くて深いキス。
「んっ…はぁ…はぁ…。」
「あっ、ん…あっあっ…あん…。」
俺たちは縺れ合いながらベッドへなだれ込み、朝まで交わりあった。
「ずっとずっと会いたかったんだから…。七夕の願いが叶った…。」
「うん、俺も…。」
翔くんの汗で湿った肌と温もりに浸ったんだ。