第55章 願いのもとに
「んふふ。お前、いつ見ても絶好調だよな。」
カラカラカラカラと回し車で遊ぶ、シマリスのショーちゃん。
“ショーちゃん”って名前の由来らしいけど、頬袋をパンパンにさせるところなんて、翔くんが食事してる時の頬にそっくり。
給水器に手を添えて飲む姿は、俺のをくわえて上目遣いの…なんて、イカン、イカン。
変な妄想してごめんな、ショーちゃん。
「ん?ショーちゃん、どうした?」
ショーちゃんはゲージにしがみつき、鼻をヒクヒクさせて俺を見ている。
「今日は七夕だぞ。ショーちゃんは何かお願いしたか?」
翔くんに会いたいな…って呟きながら、ゲージを掴む可愛い指に触れると、ショーちゃんの指先が俺の指先にペチッと乗せられた。
会えるよって言ってくれてるみたいに感じて、何だか胸がジーンと熱くなった。
「ホント、癒されるよ。一緒にいてくれてありがと。」
次はせっせと隠しものをしているショーちゃん。
暫くすると、ゲージの中からピッピッとひまわりの種が飛んできた。
「こらこら、やめろってぇ。」
拾っても拾っても、ショーちゃんは種が飛ぶのをお構いなしに隠しものに励んでいる。
んふふ。
物が散乱している部屋で、探し物をする翔くんみたいだなって思った。