第55章 願いのもとに
カラカラカラカラ…
「…んっ?…なんの…音…?。」
「んふふ。翔くんの前にね、先客がいたの。」
「先客…?」
キョトンとする翔くんが可愛くて…
ぷっくりした唇にちゅっ。とキスをした。
翔くんと手を繋いでリビングに向かう。
「ほらね。」
「あっ、シマリス?」
「うん。」
回し車で遊ぶショーちゃんは、今日も絶好調。
昨日は…癒してくれてありがとね。
朝ごはんを食べていると、口にいっぱいつめこんで頬が膨らんでいる翔くんとヒマワリの種で頬袋がパンパンのショーちゃんが同時に視界に入ってしまい、思わず噴き出してしまった。
それから、ゲージ越しにショーちゃんの姿を眺める翔くんの姿が可愛いくて、俺は気づかれないように写真を撮った。
午後になり、姉ちゃんがショーちゃんを迎えに来て…離れるのはちょっとさみしかった。
だけど今、俺の隣には翔くんがいる。
「またこっちに戻ってこれることになったよ。」
「ホント?」
「もう異動はないはずだから…。」
「嬉しい。」
翔くんに会いたいって願いが叶って。
これからはずっと一緒にいられることがわかって。
嬉しい七夕になったんだ。
数日後。
翔くんとショーちゃんのツーショット写真を入れたフレームに、ショーちゃんがピッピッと飛ばしていたひまわりの種の殻を貼り付けた。
「ショーちゃん、可愛かったね。」
そう言いながらも翔くんの声色はちょっと拗ねている。
この写真、翔くんの姿が可愛くて撮ったのになぁ。
「ヤキモチ…?」
「違うから!もうっ。」
クッションやティッシュ箱をポイポイ飛ばす翔くん。
翔くんとショーちゃん…やっぱり似てるかも。
END