第55章 願いのもとに
恋人である翔くんが他県に異動してから3年になった。
1年目は何とかして都合をつけてお盆や年末年始はこっちに戻ってきてたけど、2年目以降はそれもままならなくなってきて…去年の年末に会えたのが最後。
メールや電話じゃ足りない。
7月7日…願いは1つ。
「今日は七夕だよ。会いたいよ…翔くん。」
ベッドに伏せていると、スマホが鳴った。
でも相手は翔くんではなくて姉ちゃんからだった。
「急で悪いけど、1日だけウチのショーちゃんを預かってくれない?」
「えっ…預かるって、いつ?」
「それも本当に申し訳ないんだけど、今から。」
「いっ、今?」
15分後、ショーちゃんが姉ちゃんに連れられてウチにやって来たんだ。