第52章 近くて遠くて
「智くんも脱いで。」
勇気を出して言ってみた。
智くんがクスッと笑う。
「な、に…?」
「翔くんにもう半分くらい脱がされてるけど?」
「あっ。」
智くんのシャツの裾を持ち、胸元あたりまで捲り上げる俺の手。
気持ちが高ぶってるから、無意識だったのかな。
いつまでもクスクス笑っている智くん。
「もうっ。笑わないでよ…。」
恥ずかしくてたまらないけど、俺はそのまま智くんのシャツを脱がせた。
普段は華奢に見えるのに、意外と程よい筋肉がついている智くんの身体。
「綺麗…。」
思わず口にしてしまった。
「えっ…。」
さっきまで少し余裕さえ感じられた智くんの頬が赤く染まっていく。
「智くん、可愛い。」
俺は智くんの頬を包んで、小さく開いている唇にキスをした。
智くんの肌と俺の肌が密着する。
生暖かい感触と汗ばむ皮膚、身体のライン。
直に触れているのが生々しくて…
期待と不安で胸がいっぱいになった。
「翔くん 。」
智くんが切なげに俺を呼ぶ。
「…このままさ、下も…脱ごうか。」
「…うん。」
俺たちはズボンと下着を取り払うと、お互い勃っている中心に苦笑いした。
「同じことになってるね。」
「だって、智くんとこうしてるから。勃っちゃうのは仕方ないよ。」
「んふふ。俺と同じこと言ってる。」
嬉しそうな智くんを見ると、何だか安心する。
愛しくてたまらない気持ちが溢れてくる。
俺たちは貪るように熱いキスを交わしながら、お互いに身体を触りあったんだ。