第52章 近くて遠くて

「あっ…ちょっ…。」

俺の胸から腹を触っていた智くんの手が、俺の中心を握った。

「あっ…あっ…。」

上下に扱きながら、先端を指でグリグリと撫でられて刺激される。

「んぁ…キモチい、い…。」

「しょ…、キモチいいの…？」

「う、ん…あっ、あっあっ…。」

「んふ。その顔さ…色っぽいよ。」

顎が上がり、口がパクパクしているのは自分でもわかってるんだ。

そんな俺の表情を色っぽいなんて…。

「んっ…智くんにしか、見せないし…あっんっ…。」

「嬉しいな。」

翔くんの甘い声にドクンと身体が疼いて、先端から蜜が更にダラダラと溢れてくる。

「さと、く…。」

俺も智くんの中心に手を伸ばした。

だけど…

上下に扱くことは何とかできるのに、智くんと同じように先端のグリグリが上手くできない。

「智くん、ごめんね。痛い…？」

「んっ…。翔くん…大丈夫。ぎこちないのがいいよ。キモチいい…。」

ぎこちないのがいいって…

俺を気遣う言葉に胸が熱くなったんだ。



智くんに中心を扱かれて、身体を優しく愛撫されて…

何だろうな…

お尻の辺りがウズウズしてきて。

男の自分が…って不思議ではあるんだけど、これはきっと…。

「…智くん。」

「んっ…翔くん…？」

「あの、さ…。」

「んっ？」

「智くんのが…欲しいの。」

智くんが俺をじっと見つめている。

ちゃんと伝えたい。

「智くんのをね、挿入れて欲しい…。」

「翔くん。それってさ…。」

「うん…。智くんに…抱いて欲しくて…。」

どうしようもないくらいに心臓がバクバクしてる。

「翔くん、翔くん、翔くん。」

「うわっ。」

俺は智くんに力一杯抱きしめられたんだ。