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キミとボク【気象系BL】

第52章 近くて遠くて



「翔くん、ごめんね。」

智くんが俺の手を包んだ。

その手が震えていて…

俺はキュッと握り返した。

智くんが目を潤ませながら俺をじっと見ている。

「もう気づいてると思うけど…。」

俺は智くんの言葉を待った。

「好き。俺は翔くんが好き。」

ストレートな言葉がスーッと心に入ってくる。

それとともに、目に透明な膜が張ってきて、智くんの顔がぼやけてきたんだ。

「翔くん、泣かせてごめんね。」

「違うの。イヤとかじゃないの。」

「イヤじゃ…ないの…?」

「智くん…好き。俺も智くんのことが好き。」

俺は握っていた手を解いて、智くんの身体を引き寄せた。

その力が強かったようで、勢い余ってそのままベッドに倒れこんでしまった。

智くんが俺の上にいる。

「ごめん、力加減が…。」

「んふふ。翔くんらしいよ。」

優しく微笑みながら、智くんは俺の前髪を上にかきあげた。

智くんの綺麗な顔が目の前に…。

今までにない至近距離と身体の密着に、今頃になって胸がドキドキし始めてきた。

智くんの左手が俺の頭に、右手は俺の左手に絡められる。

「翔くん。」

俺を呼ぶ智くんの声が甘くて、身体中がゾクゾクする。

「今まで想像はしてきたけど…触れてもいいかな。」

「智くん…。俺もね、智くんに触れたかった…。」

智くんの背中に回していた俺の手に力が入った。

見つめあっては、はにかんで。

そしてまた見つめあって。

少しずつ近づく唇にドキドキして。

ちゅっ。

それがそっと重なった。







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